[開設 07/03/23=MM/DD/YY]
擬順序(前順序)
反射律と推移律を満たす 2項関係を
擬順序 (pseudo-order)
または
前順序 (preorder)
と言う.
擬順序は,
半順序から反対称律の仮定を除いたものである.
- 例 1
-
X を有限集合とし,
A,
B∈2X
に対して,
A ≲ B
⇔
|A| ≤ |B|
(|A| は A の要素数)
とおくと,
≲ は 2X 上の擬順序になる.
- 例 2
-
(
x1,
x2,
x3
),
(
y1,
y2,
y3
)∈
ℝ3
に対して,
(
x1,
x2,
x3
)
≲
(
y1,
y2,
y3
)
⇔
(x1+x2)/2
≤
(y1+y2)/2
かつ
x3
≤
y3
(例えば,数学,理科,英語の 3 科目の試験で
受験者を評価するときに,
理科系 2 科目は得点の平均値で評価する)
ℝ3 上の関係
≲
は
擬順序であり,
比較可能性を満たさない.
例えば,
(30,70,60)
と
(80,40,50)
は
比較不能である.
さて,
≲ を X 上の擬順序とするとき,
x∼y
⇔
x≲y
かつ
y≲x
と定めると,
∼
は
X 上の同値関係になる.
直観的に言うと,
x∼y
とは,
x
と
y
が
≲
に関して
同レベル
ということである.
- 問 1
-
∼
が
X 上の同値関係であることを
示せ.
解答
商集合 X/∼ 上に
2項関係 ≤∼
を
[x]
≤∼
[y]
⇔
x≲y
と定めることができて,
≤∼
は
X/∼ 上の半順序(擬順序ではない)になる.
- 問 2
-
上の定義によって
≤∼
を明確に定めることができること,
つまり
[x]=[x′]
かつ
[y]=[y′]
のとき,
x≲y
⇔
x′≲y′
であること
を示せ.
解答
- 問 3
-
≤∼
が
X/∼ 上の半順序
であることを示せ.
解答
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