[開設 07/27/23=MM/DD/YY]

配付資料「束」例 17 の解説

ここでは, 写像 HH が, 束 (Sn, +, ∩) から それ自身への双対同形写像であることを説明する.
説明 1
配付資料「半順序関係」例 16 より, 写像 HHSn から Sn への双対順序同形写像である. 配付資料「束」 p. 3 上から12‐13行目 「束双対(準)同形写像と双対順序(準)同形写像の間にも, 命題 6 と同様の関係がある」 (詳しくは web資料「命題 6 の双対」)から, 束から半順序集合への双対順序同形写像は 束双対同形写像なので, 写像 HHSn から Sn への束双対同形写像であることが解る.

説明 2 (「命題 6 の双対」を用いない説明)
H1, H2Sn とする. まず,
(H1+H2) = H1H2
を示す. 以下, x, y ∊ ℝn の内積を 〈x, y〉 で表す. 任意の x ∊ ℝn に対して,
x ∊ (H1+H2) hH1+H2; 〈x, h〉 = 0
h1H1, h2H2; 〈x, h1+h2〉 = 0
h1H1x, h1〉 = 0 かつ ∀h2H2; 〈x, h2〉 = 0  (下記括弧文参照)
xH1 かつ xH2
xH1H2
(3番目の ⇔ に関して, ⇐ は 〈x, h1+h2〉 = 〈x, h1〉 + 〈x, h2〉 = 0 より従う. ⇒ については, 0 ∊ H2 に対して 〈x, h1〉 = 〈x, h1+0〉 = 0 であることと, 0 ∊ H1 に対して 〈x, h2〉 = 〈x, 0+h2〉 = 0 であることから従う). よって, (H1+H2) = H1H2 である.
次に,
(H1H2) = H1 + H2
を示す. 資料「半順序集合」p. 6, 例 16 で見たように, HH は対合的, すなわち, H⊥⊥ = (H) =H であるから, 上で示した等式を用いて,
(H1H2) = (H1⊥⊥H2⊥⊥)
= (H1 + H2)⊥⊥
= H1 + H2.
以上, 上で示した2式から, 写像 HHSn から Sn への双対順序同形写像である.

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