[開設 07/27/23=MM/DD/YY]

命題 6 の双対

配付資料「束」 p. 9 の 「束双対(準)同形写像と双対順序(準)同形写像の間にも, 命題 6 と同様の関係がある」の解説
「命題 6 と同様の関係」とは,下の命題に示される関係である.

命題
(i) 束双対準同形写像ならば双対順序準同形写像である.
(ii) L を束, X を半順序集合, f : LX とするとき,
X が束でf が束双対同形写像 ⇔ f が双対順序同形写像.
資料「双対(準)同形写像の双対」 で示したことに注意すると, 上の命題と配付資料「束」命題 6 は 定義域(または値域)上の順序に関して互いに双対である. したがって, 双対原理により,上の命題が成り立つ. 実際, 配付資料「束」命題 6 の証明の, 定義域(または値域)上の順序に関する双対を取れば, 上の命題の証明が得られる. 念のため, 上の命題の証明(命題 6 の証明の双対)を下に記しておく.

命題の証明
(i)
f : L1L2 を束双対準同形写像とする. x, yL1 について, xy とすると, xy = y なので, f が束双対準同形写像であることより
f(x) ∧ f(y) = f(xy) = f(y)
となるから, f(x) ≥ f(y) である. よって,f は双対順序準同形写像である.
(ii)
(⇒)  f : LX を束双対同形写像とすると, 代数系の同形写像の性質より f −1 も 束双対同形写像である. 束双対同形写像は束双対準同形写像だから,(i) より双対順序準同形写像である. よって, ff −1 も双対順序準同形写像なので, 定義より f は双対順序同形写像である.
(⇐)  L を束, X を半順序集合, f : LX を双対順序同形写像とする. まず, X が束であることを示す. x, yX を任意に固定する. f は全単射なので Ll = f −1(x) と m = f −1(y) が存在し, L は束だから lm が存在する. flm ) が {x, y} の下限であることを示す. f が双対順序同形写像であることと llm から x = f(l) ≥ f(lm) であり, 同様に y = f(m) ≥ f(lm) である. よって, f(lm) は { x, y } の下界である. zX を { x, y } の任意の下界とする. f が双対順序同形写像であることと xz から l = f −1(x) ≤ f −1(z) であり, 同様に mf −1(z) である. よって, lmf −1(z) なので, f(lm) ≥ f(f −1(z)) = z となる. したがって, f(lm) は { x, y } の最大下界, すなわち下限である. 双対的に { x, y } の上限も存在するので, X は束である. 次に, f が束双対同形写像であることを示す. 任意の l, mL に対して, x = f(l), y = f(m) とおくと, 上での議論から f(lm) は { x, y } = { f(l), f(m) } の下限なので, f(lm) = f(l) ∧ f(m) である. 双対的に f(lm) = f(l) ∨ f(m) も言えるので, f は束双対準同形写像である. そして,f は全単射だったので,束双対同形写像である.


離散構造(室伏)のホーム
murofusi "at mark" c "dot" titech "dot" ac "dot" jp ("at mark" -> @ / "dot" -> .)