[開設 07/31/23=MM/DD/YY]

概念束の作成手順」の数学的背景


(A,B) が概念のとき
(1)   A = ∩mB m
が成り立つので1), 任意の外延は m′ の共通集合である. 一方, 任意の mM について (m′,m″) が概念であることと 配付資料「形式概念分析」命題 3
(A1,B1) ∧ (A2,B2) = (A1A2, (B1B2)″)
より, m′ の任意の共通集合は外延であることが解る. よって, m′ の共通集合として作られる集合全体と 外延全体は一致する. Step 1 ではm′のすべての共通集合を算出しており, これにより すべての外延が求まる. なお, 数学的には Step (1.2)で m′ が極大な属性 m を選ぶ必要はなく, どの属性 m を選んでもよい. m′ が極大な属性 m を選ぶのは, Step 1 と Step 2 の作業がしやすいからである.
Step 2 は, 概念間の順序関係の定義
(A1,B2) ≤ (A2,B2)  ⇔  A1A2
に基づく. なお, 属性のラベル付けでは, 属性-外延表で 属性 m と外延 A が同じ行にあるとき A=m′ であることに注意されたい.
Step (3.2) は, g″ が gG を含む最小の外延である事実2)に基づく. また, Step (4.2) は, 任意の概念 (A, B) について, 式 (1) より
(A, B) = (∩mB m′, B) = (∩mB m′, (∩mB m′)″) = ∧mB (m′, m″)
なので, (A, B) が交わり既約ならば, ある (m′, m″) に等しいという事実による. Step (4.1) は Step (4.2) の双対である. なお, 一般に 対象のラベルが付いていても結び既約とは限らないし, 属性のラベルが付いていても交わり既約とは限らない. Step (4.3) は 配付資料「形式概念分析」命題 4 (ii) で (A,B) = μm = (m′,m″) としたものに基づいており, これにより命題 4 (i) の確認ができる.
1)
gA ⇔   gB ′
mB ; gIm
mB ; gm
g ∊∩mB m
より, A = ∩mB m′.
2)
g ∊{g} ⊆ {g}″ = g ″ なので g ″ は g を含む外延であり, AgA なる任意の外延とすると, {g}⊆A より g ″ = {g}″ ⊆ A″ = A だから, g ″ は g を含む外延の中で最小である.

概念束の作成手順
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