sup ∅ と inf ∅ について, ∪∅ と ∩∅ と同様の議論 (ハンドアウト「事前資料」p. 3 例 2.3 参照) ができる.
まず, ∅ の上界について考えてみよう. 任意に s ∈ X を固定する.
したがって, 任意の s∈X が ∅の上界となる. よって, ∅の上界全体の集合は X になる. 上界全体の集合の最小元が上限だから, ∅の上限 sup ∅ は min X に一致する (もちろん min X が存在しなければ sup ∅ も存在しない).
s が ∅ の上界 ⇔ ∀x ∈ ∅ (x ≤ s) (∵ 上界の定義) ⇔ ∀x (x∈∅ ⇒ x ≤ s) (∵ 付帯条件つき限定命題の定義) ⇔ ∀x (F ⇒ x ≤ s) (∵ 空集合の定義) ⇔ ∀x T (∵ ⇒ の真理値表) ⇔ T . (∵ ∀の定義)
∅の下界と下限についても 同様の議論ができて, inf ∅ = max X (max X が存在しなければ inf ∅ も存在しない) となる.
なお, max ∅ と min ∅ は存在しない (max と min の定義より max ∅ ∈ ∅, min ∅ ∈ ∅ でなければならないが, 空集合は要素を持たないので, これらは どちらも不可能である).