[開設 07/03/23=MM/DD/YY]

命題 4.1 の証明


(i)   xy ⇔ (x > y   または   xy が比較不能).
(⇒) xy を仮定する. 「x > y または, xy が比較不能」 を示すには, 「xy が比較不能」でないとして, x > y を導けばよい.
xy が比較不能」でないとすると, xy は比較可能なので, xy または yx である. 仮定から xy ではないので, yx である. よって, yx かつ xy なので, < の定義から y < x, すなわち x > y である.
以上で, xy ならば, 「xy が比較不能」または x > y が言えた.
(⇐) まず, x > y を仮定する. > の定義から xy かつ yx なので, xy である.
次に, xy が比較不能であると仮定する. すると, 比較不能性の定義と de Morgan 律から xy かつ yx なので, 後者から明らかに xy である.
よって, いずれにしろ xy なので, 結局, x > y または 「xy が比較不能」 ならば, xy である.

(ii)   xy ⇒ x < y または x = y.
(⇒) xy を仮定する. 「x = y または x < y」 を示すには, 「x = y でないなら x < y であること」 を示せばよい. そして, x = y でないなら 仮定 xy と 関係 < の定義から 明らかに x < y である.
(⇐) x < y のときは, 関係 < の定義から xy かつ yx なので, xy である. x = y のときは, ≤ の反射律より xy となる. よって,いずれにしろ xy である.

(iii)
(a)   xy, y < z   ⇒   x < z.
証明. xyy < z を仮定する. 仮定 y < z と関係 < の定義より yz であるから, 仮定 xy と 今の yz に ≤の推移律を適用して
xz
となる. ここで, もし zx だとすると, これと 仮定 xy に≤の推移律を適用して zy となるが, この結果は 仮定 y < z と 関係 < の定義に反する. よって,
zx
でなければならない. これと, 先ほどの xz に 関係 < の定義を適用して,
x < z
となる.

(b)   x < y, yz   ⇒   x < z.
 x < yyz を仮定する. 仮定 x < y と関係 < の定義より xy であるから, 仮定 yz とこれ に ≤の推移律を適用すると
xz
となる. ここで, もし zx だとすると, 仮定 yz とこれ に≤の推移律を適用すると yx となるが, この結果は 仮定 x < y と 関係 < の定義に反する. よって,
zx
でなければならない. これと, 先ほどの xz に 関係 < の定義を適用して,
x < z
となる.

(c)   x < y, y < z   ⇒   x < z.
 x < yy < z を仮定する. 仮定 x < y と関係 < の定義より xy であるから, 上の (a) の仮定が満たされる. よって, (a) より x < z となる.


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