[開設 07/03/23=MM/DD/YY]

実数区間の表記法

実数区間については 既に学んでいると思うが, 念のため,ここで整理しておく.

a, b∊ℝ のとき (注:数学では実数全体の集合を ℝ と書くことが多い),
(a, b) = { x | a < x < b }     開区間
[a, b] = { x | axb }     閉区間
(a, b] = { x | a < xb }     (左)半開区間
[a, b) = { x | ax < b }     (右)半開区間
(a, ∞) = { x | a < x }     開区間
[a, ∞) = { x | ax }     閉区間
(−∞, b) = { x | x < b }     開区間
(−∞, b] = { x | xb }     閉区間
(−∞, ∞) = ℝ .     開区間
上から 4 つは有界な区間であり, 下 5 つは非有界な区間である.
(a, a) = (a, a] = [a, a) = ∅,     [a, a] = {a}.
であり, a > b のとき
(a, b) = (a, b] = [a, b) = [a, b] = ∅
である.
開区間の ( の代わりに ] を,) の代わりに [ を使う流儀もある.例えば,]a, b[ = (a, b) である (これは, (a, b) という記法が,開区間を表わす場合も,順序対を表わす場合もあって, 混乱を招くことがありえるからだと思われる).

(−∞, −∞) や (∞, ∞) という区間は定義されない. もちろん, [−∞, −∞) や [−∞, −∞] や (∞, ∞] や [∞, ∞] も定義されない. なお, 念のために書いておきますが, 定義されないというのは 空集合 ∅ に等しい という意味ではありません. 定義されないというのは, 存在しないということです. (これも念のためですが, 空集合 ∅ は存在します → 「空集合は存在する」).

∞ は +∞ と表記される場合もあり, +∞ と −∞ を合わせて ±∞ や ∓∞ とも書く.
∞ と −∞ は実数ではなく, 便宜上の記号に過ぎない (だから実体としては存在しない). よって, 普通は (a, ∞] や [−∞, b) のような区間は定義されない (だから これらも存在しない).
±∞ が実数のように扱われる場合もあるが, その場合も ∞ と −∞ は拡張実数 (extended real number) と呼ばれ, 実数ではない.

±∞ が実数のように扱われる場合は, 任意の実数 r∊ℝ と次の関係にあるものとされる (複号同順).
−∞ < r < ∞,
r + (±∞) = (±∞) + r = (±∞) + (±∞) = ±∞,
r > 0 のとき  r⋅(±∞) = (±∞)⋅r = (±∞)⋅∞ = ±∞,
r < 0 のとき  r⋅(±∞) = (±∞)⋅r = (±∞)⋅(∓∞) = (∓∞)⋅(±∞) = ∓∞,
一般に (−∞) + ∞ と ∞ + (−∞) は定義されない. ただし, (±∞)⋅0 と 0⋅(±∞) は
(±∞)⋅0 = 0⋅(±∞) = 0
と定義される場合がある.
このとき, 拡張実数区間は, 全体集合を = ℝ ∪ { −∞, ∞ } とし, −∞ ≤ ab ≤ ∞ として, 上の実数区間と同様に定義され, (a, ∞] や [−∞, b) のような区間も意味をもつ.

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