[開設 07/03/23=MM/DD/YY]

∪ ∅ = ∅ と ∩ ∅ = X の直観的説明

X は全体集合.

∪ ∅ = ∅ と ∩ ∅ = X の証明は 「事前資料」p. 3 例 2.3 で示しているので, ここでは これら 2 式の直観的な説明を試みよう.

ハンドアウト 命題 2 (8) の
(a)   AB  ⇒  ∪A ⊆ ∪B ,
(b)  AB  ⇒  ∩B ⊆ ∩A
を使うのだが, これらは直観的に理解できているだろうか?

まず, (a) と (b) を 簡単な例で確認することから始めよう.
A, B, C を集合 (全体集合 X を想定している場合は X の部分集合) とし,
A = { A },
B = { A, B },
C = { A, B, C }
とおく. このとき, 明らかに ABC である. また,
A = A
B = AB,
C = ABC
であるから, ∪A ⊆ ∪B ⊆ ∪C となっていること,すなわち (a) が確認できる. 合併する集合が多くなればなるほど 合併集合は大きくなっている. 別の言い方をすると, 合併する集合が少なくなるほど 合併集合は小さくなるのである.
一方,
A = A,
B = AB,
C = ABC
であるから, ∩C ⊆ ∩B ⊆ ∩A となっていること, すなわち (b) が確認できる. 交わりをとる集合が多くなればなるほど 交わりの部分(共通集合)は小さくなっている. 別の言い方をすると, 交わりをとる集合が少なくなるほど 共通集合は大きくなるのである.

さて, 合併する集合が少なくなるほど 合併集合は小さくなる のだから, 合併する集合が最も少ない場合, つまり 0 個の場合, その合併集合 ∪ ∅ は最も小さくなければならない. 最も小さい集合は空集合 ∅ である. よって, ∪ ∅ = ∅ であることが直観的に説明できた.

同様に, 交わりをとる集合が少なくなるほど 共通集合は大きくなる のだから, 交わりをとる集合が最も少ない場合, つまり 0 個の場合, その共通集合 ∩ ∅ は最も大きくなければならない. 最も大きい集合は全体集合 X である. よって, ∩ ∅ = X であることが直観的に説明できた.

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